夏休み的読書感想文(ガチ)。
さて、前回に引き続き。勝手に夏休みの宿題的なものに取り組んでおります。
えぇ、読みました。普段はいわゆる「ノベライズ本」というのはあまり読まないのですが、読みました。約250ページほどありましたが、印象としては
非常に読みやすかったです。
読書や活字が苦手だ、と言う方にはとっつきやすいのではないか、という印象です。行間もわりと幅があるように感じたので、ページ数のわりにはすぐに読めました。
作品はこちら↓↓
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 原作:岩井俊二 著:大根仁 角川文庫
それでは行ってみよう!
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
(以下感想文)
完璧な人間はいない。誰しも、もしも「過去」に戻れるとしたら、やり直したいこと、言った言葉や言わなかった言葉、したことやしなかったことがあるだろう。私たちが普段刻んでいる時間というものは確実なもののようで、実は曖昧で、時間に翻弄されているようにも感じる。
繰り返される1日、行ったり戻ったりする時間の中で、感じる風、聞こえてくる音でそこに流れている時間を感じさせられる。それと同時に聞こえてくる音から受ける印象の違いも感じる。なずなの母親の甲高い声からくる嫌悪感も、典道のドクンという心臓の音から伝わるなずなに対する思いも同じ音と言葉にまとまられてしまう。
色々な生活の雑音のような音と対照させるように存在する群青色の海が静けさと共に不気味さや、実際は戻ることのない過去、現実や、悲しささえも伝えているように思う。
不思議な「もしも玉」もなずなのお父さんが死ななかった世界には連れて行ってはくれなかった。いくつもの「もしも」を繰り返しても、結局典道は、なずなに自分の思いをはっきりとした言葉で告白することはできなかった。「もしもの世界」というものが本当にあって何度同じ1日を繰り返すことができたとしても、人間というのは本当に大切なものを大切と言ったり、「正しい」とされる道を必ず選んだりできるわけではないことを教えてくれる。
思春期特有の揺れる不安定な気持ちから人間の持つ脆さや弱さが一層強調されている。したことの後悔、しなかったことの後悔、どちらもしないためにも、今大切なものを選ぶ大切さを教えてくれている。典道は、なずなを助けることができなくて、守れなかった自分に後悔して、何度も同じ1日を繰り返す。一方で、なずなのお父さんは、初心者のサーファーを助けようとして、自分が死んでしまったことを後悔はしなかったのではないかと思う。もちろん、死にたいと思っていたはずはないが、もし、目の前で溺れている人がいるのに助けずに見殺しにしてしまうなら、それは後悔しても後悔しきれない思いを抱かせたに違いない。
死、という青春真っ只中の中学生とは一見かけ離れているテーマが対比されることで、今という時間が決して戻らない、貴重なものだということを実感させられる。どんな現実であっても受け入れる勇気と強さを与えてくれる。
感想の、感想。再び。
みたいな(*´ω`)
感想というか、安い批評みたいな感じになっちゃいますね。
今回はノベライズ本ということで比較的、映像と文字の隔たりは少なかったのかもしれませんが、根本的な表現方法が違うので、比べてみると非常に面白かったです。
映画はやはり、きれいな色彩に魅せられるところが大きかったですね。それに対して本は、確かに描写として様々な色が登場しましたが、それよりも音の描写の方がはっきりと自分の中に入ってきたような印象でした。静と動のコントラストがよりはっきりしていた、という感じです。
映画を観た後に本を読んだ、という順番もあるんでしょうけど、主人公の心情も本の言葉が補ってくれたようにも感じました。本が主人公典道の視点、というところも大きいのですが、セリフがより際立っていましたし、心の中の思考的なものも丁寧に描かれているように思いました。本を読んで、あぁ、そういうことだったのか、みたいな感じになりました。
あとは映画では気になりませんでしたが、本では、なずなのお母さんの再婚相手の名前が出て来ないことが引っかかりました。「婚約者の男」って。。。明らかに受け入れられていない、よそ者感が際立っていました。
そして、夏休みの宿題あるあるですが、なずなのワンピースの色が映画では白、本では黒でした。そして映画で出てきたifと書いてある電球はどこにいってしまったのでしょう。。。映像で魅せるのか、言葉で魅せるのか、魅せ方も効果も違うので表現の仕方や細かいセリフが異なるのは仕方のないことですが、本を読まずに感想文を書こうとするとちょっと失敗してしまいそうになります。。。
それでも、補助的な役割だったり、全体像をつかむために、あるいは興味関心を掻き立てるために映画を観るというのもありかな?とは少し思いました。活字離れとは言われていますが、ノベライズ系というのは比較的読みやすいですので、そうしたジャンルから読書の世界に入るのも方法ではあるかな、と個人的に思いました(*´ω`)
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