対人コミュニケーションにおいて100%を求めないこと

対人コミュニケーションにおいて100%を求めないこと

「自分のことを分かってほしいと思うことほど傲慢なものはありません。」

「自分の話はするな」

テレビを見ていたら、不意にそんなキャッチフレーズが耳に入ってきました。

私は、このキャッチフレーズを使ったCMで紹介されている本について、読んだことはありませんし、本の内容も分かりません。ですので本やその筆者を批判、あるいは逆に称賛するつもりもありません。

ただ、このキャッチフレーズを聞いた時に、何とも言えないもやっとしたすっきりしない気持ちを抱いたのです。 その理由について今回はひも解いていきたいと思うのです。(*´ω`*)

自分のことを分かってほしいと思う

自分のことを分かってほしいと思うのは本当に間違いなのか

突然ですが、「自分のことを分かってほしいと思うのは傲慢なことだ」と言われたら、どう感じるでしょうか。

確かに、どんな人間も相手のことを100%誤解もなく完璧に理解するというのは無理なことです。また、相手によっては特に自分の気持ちを理解してほしくない、と感じる場合もあると思います。ただ、上のように言われてしまうと

あなたは私のことを理解しようとは思わないのですね。

私の個人的なことには関心がないのですね。

私と仲良くしようという気持ちはないのですね。

無駄なことは一切避け、淡々と自分の仕事だけしたいのですね。

、、、ひねくれた私はそんな風に感じてしまいました。

結局、自分のことを分かってほしい=傲慢、と考えている人は自分のことにしか関心がない人なのかな、と思ってしまいます。他人には関心がないのです。そして自分勝手な人自分の思うとおりに人を動かして仕事をしたい、と思っている人と、果たしてどれくらいの人が一緒にいたいと思うでしょうか。

世間的には効率よく仕事ができる人、と評価されるでしょうが、、、

100%を求めない― 他人にも、そして自分にも

加えて、私が感じたのは 「自分のことを分かってほしい=傲慢」 という考え方の背景に、

コミュニケーションにおいて100%を求めている

という側面があるのではないかと思います。100%を求めている、というよりは人間関係を

100 OR 0

で考えているのかなと思います。

まず、コミュニケーションにおいて自分のことを分かってほしい、と思うだけでは不十分なことは明らかです。相手のことも分かろう、理解しようと思う気持ちは不可欠です。

コミュニケーションというのは片方がGIVE、片方がTAKEという一夫的な関係で成り立つものではありません。それはそもそも意思を通わせるコミュニケーションではありません。コミュニケーションというより作業です。

そしてお互いに仮に分かりたいという気持ちはあっても、100%理解するのは無理です。

例えば、自分は相手の意図を70%程度理解できたかもしれません。相手は自分の言いたいことを50%分かってもらえたかもしれません。それでも双方のどちらが得をしていてどちらが損をしている、というものではありません。

仕事上の必要な関係等を除いて、人間関係や気持ちを通わせる、ということは損得で判断できるものではないからです。

もっと広い視野で見る

先ほどの例は1対1という関係で見た時に損をしているように感じるかもしれません。それでも

あなたは、自分の他にあとたった1人しか、人と関わらないにような世界に住んでいるでしょうか

それがあなたの人間関係の全てでしょうか

実際に自分自身が、別の人にはその逆、つまり自分が相手のことをそこまで理解できていないかもしれません。また相手との関係性によっては、相手のことをそこまで理解したいとも思わないかもしれません

でも、私はそれでいいのではないか、と思います。常に全力100%!!で周りの人とお付き合いする必要はないのです。

自分のことを分かってほしい、分かってもらえた、と思うことに一喜一憂する必要はない、という意味で、分かってほしいと思うのは「傲慢」なのかもしれませんね。

それでも分かってもらわなければ、加えて分かろうとしなければ信頼関係が深まっていかないことは事実だと思います。

実際、人に相手のことを質問ばかりして、自分の個人的な情報は一切話したくない、というようなタイプの人に出会うこともありますが、そうしたある面で「自分の手の内をみせようとしない」タイプの人に、信頼して自分のことを話そうなんて思うでしょうか。

コミュニケーションとは、「話す・自己主張ばかり」でも「聞くばかり」でもないのです。

ですので

1 100%互いのことを理解できるとは限らないことを認めること

2 自分にも相手にも完璧を求めて不満を抱かないこと

3 自分のことばかりではなく相手の気持ちや考えを理解しようとする気持ちを忘れないこと

が大切なのではないでしょうか。 そして程よい距離感も大切にしながら人間関係を保つことも。