家庭教師のアルバイトを始めようと思っておられる方へ

家庭教師のアルバイトを始めようと思っておられる方へ

春の時期、何か新しいアルバイトを始めようとされている方にとって、特に学生の方にとっては「家庭教師」というのは、いわば身近な選択肢の一つかもしれません。

私自身も、学生のアルバイトとして家庭教師を始め、複数の派遣会社に登録していた時期もありますし、現在もプロ家庭教師として仕事をしています。

仕事の内容としてはあまり変わらないのですが、塾という「教室」で子どもに教えるのと、家庭教師という自分とは異なる「家庭」の中で教えるのとでは、感覚的に微妙な違いがあるな、と思います。(*´ω`*)

今回はそんな家庭教師の現状についてまとめてみました。

変わりつつある家庭教師と家庭との距離感

家庭教師としての仕事を10年以上していますが、10年前と比べて時代が変わったなぁ、と実感させられることが最近よくあります。

家庭教師と塾講師の仕事の大きな違いの一つとして挙げられるのは、家庭教師の場合、生徒である子どもとだけではなく、保護者の方を含むご家族との人間関係が存在することです。

学生か社会人であるかに関わらず、多くの塾講師にとって、関わるのは子どものみで、保護者を交えた進路相談等は別の担当の方がいらっしゃる場合が少なくありません。保護者との関わりと言えば、授業の前後に挨拶することぐらい。(しかも送り迎えを保護者がしている場合に限られる)

それに対して、家庭教師というのは、その家庭との関わりが濃厚になります。子どもからも保護者からも信頼されることが大切になるので、いかに早くその家庭の「家族の一員」になれるか、ということが重要でした。

そう、その「家族の一員」という考え方が10年前の考え方です。家庭というプライベート空間に入る、リビングや子ども部屋というプライベートなスペースに入る。時には子どもの相談に乗ったり、場合によっては保護者の悩みや日頃の愚痴も聞いたりする。食事を一緒に取ることもある。そう、それはまるでドラえもんのように。家族ではないけれど、子どもの成長にとって大切な身近な大人、という存在になる。子育てを見守る一員として家族にも認められていく。

そんな立ち位置を求められているように感じていました。

「食事付き」家庭教師案件が絶滅危惧種になっている件

決して食事という「まかない」を期待しているわけではありません。それぞれの家庭の事情やライフスタイルがありますし、すでに授業料という正当な報酬はいただいています。

そうではなく、良くも悪くも関係がドライになっている、ということです。それは、他人だけれど家族の中にいるドラえもんから、まるでお金で雇われた作業員になった、というような感覚です。

病院等で「心付けは受け取ない」というようなルールが存在することを聞くことがありますが、その「心付け」の認識が家庭教師業界でも変わりつつある、と感じます。

そもそも「心付け」とは、感謝の気持ちを示すために金銭や品物を与えることであり、その中にはご祝儀やチップも含みます。「賄賂」とは全然違う物です。

過去に家庭教師をしている中で、日常的に食事を出していただいていたご家庭もありましたし、入試や資格試験に合格したときに、お礼をいただいたこともありました。それだけでなく、お中元やお歳暮の時期になるとギフトをいただいたり、はたまた私自身、小柄ということもあり、まだ奇麗だけれど、お子さんやお母さんが着れなくなった服をお下がりでもらったり、なんてこともありました。

決して物乞いをしたいわけではありませんが、何となく「古き良き時代」を思わせます。家族旅行のお土産をもらったり、家には私が毎週使えるように「マイカップ」「マイ食器」なるものが存在していたり…。それは紛れもなく、「家族」とまでは行かなくとも、少なくとも「親戚」くらいにはなっていたはずです。少なくとも「他人」ではないのです。

トラブルを避けるための距離感

トラブルを事前に回避することが今は特に求められているように感じます。会社によっては、ご家庭から金品を受け取ることはNGとしているところもありますし、連絡先を交換するのかも慎重になる必要があります。

SNSが普及している昨今ならでは、という感じはします。(*´ω`*)

保護者の方とのやり取りをするのに、電話番号やメールアドレス、もしくはラインを知っていないと不便なのは確かです。連絡先を交換するかどうかは個々の先生に任されている場合も少なくないですが、会社を通して連絡をして直接やり取りしないようにすることも可能です。連絡先というのは個人情報なので、自分が相手に個人情報を伝えるかどうかも含めて慎重になる必要がある、ということです。

金品を受け取ることに関しても、それまで色々と親切にしてくださったとしても、最終的に入試に合格しなければ、「これだけあなたに投資したのに、結果を出してくれなかった。」というクレームにつながる可能性もゼロではありません。

もちろん、そんな方ばかりではありませんし、親切な方もたくさんいらっしゃるので、過度にビクビクする必要はありません。

時代の移り変わりを感じるのは事実ですが、人との人間関係を築いていくのが苦手だ、と感じておられる方や、プライベートと仕事をきっちり分けたい、と考えておられる方にとっては、ある意味、家庭教師の仕事をするハードルが下がった、と言えるかもしれません。

求められているのは、確実に仕事をこなすことです。家庭と家庭教師の距離感が変わってきたことで家庭教師に求められる資質も変化したように思います。そのことに関しては次回、書きたいと思います。(´▽`*)