新婚旅行ハリケーン~失われたひろし~旅行の舞台はオーストラリア

新婚旅行ハリケーン~失われたひろし~旅行の舞台はオーストラリア

またしてもサブカル的なお話ですが、今回は映画版、クレヨンしんちゃんです。(^-^; そう、久々に観たのです。

懐かしいですね。アニメは幼い頃、よく観ていました。小学生の頃は「旅行に行く移動中に読む漫画=クレヨンしんちゃん、と言ってもいいほど私にとっては幼き日の思い出の作品、と言った感じです。

アニメは普段の日常生活を描いている物がほとんどですが、昔から、映画版になると、昔から、下手な感動ものよりもよっぽど感動する、家族愛とヒューマンドラマ、というイメージがあります。

今回は特にその、毎回大きなテーマとなる「家族愛」が色濃く出る「新婚旅行」を題材にした映画を観ました。

初めて観る作品でしたが、大人になってからクレヨンしんちゃんを再び観て、やっぱり感動ものだなぁ、よく考えられているなぁと思ったり、伏線の多さに驚いたりと、感じたことをまとめてみました。(^^♪

旅行

みんなでオーストラリアに新婚旅行に行こう!

そんなことから、物語はスタートします。(以下映画の内容も絡めながら感想を書いているので、ネタバレありです。(注)↓)

少々無理があるというか、ぶっ飛んだ始まりです。

「新婚旅行」に行くのは「みんなで」ということなので、ひろし、みさえ、しんのすけ、ひまわり、そしてシロ (笑)。

細かいことにこだわると、

い、犬も?

ということになりますが、ペットも自分たちの大切な家族の一員、というメッセージを伝えているのでしょう。何だか現代的な感じがします。

さらには、この2人が結婚して何年になるのかは分かりませんが、しんのすけが5才だということを考えると、5年以上は経過しているのかな、という感じはあります。

え、新婚、「新」婚か⁉

とも思いますが、映画内では、お金がなくて新婚旅行に行けなかったから、と説明されています。傍から見るとただの家族旅行ではないか、という感じですが、新婚旅行、というのは思い入れの強い、こだわりの出る分野ではありますし、何をもって新婚とするかという規定の概念に対する挑戦のようにも思えます。

固定観念という面でいうと、劇中でみさえは何度も「子連れのおばさん」というワードを連発しています。子連れのおばさんだからできない、ということはない、と。女性蔑視に対する批判や、ワンオペ育児に対する批判などの要素が織り込まれていることも、今の時代ならでは、というかクレヨンしんちゃんらしい作品だと思わされる要素の一つにもなっています。

伏線の多さとワードチョイス

セリフや人の名前、全てに意味を見出そうとするとキリがないのですが、今回は主なものをピックアップしました。

1 ねねちゃんのリアルおままごと

アニメではおなじみの場面ですね。今作品では、ねねちゃん、ぼーちゃん、かざまくんが登場する場面はホントに最初だけの短い時間なのですが、しっかりと存在感を見せつけてくれています。

ねねちゃんのこの度のリアルおままごとのテーマは何と「どろぬまりこん」。新婚旅行は「愛が試される」という意味深な言葉も、不穏な空気を作り出すことに成功しています。

2 ひろしが「仮面族」にさらわれる

舞台がオーストラリアなので、原住民のような部族のようなものが登場しても特に違和感を感じていなかったのですが、「仮面」族って。深読みすぎかもしれませんが、「仮面夫婦」という言葉を連想させます。本当の幸せとか、価値のあるものとは何か、ということは作品全体を通して投げかけられているテーマではありますが、「仮面」という言葉が、さらに鋭い雌のように感じます。

3 オーストラリア→コアラ→嗅覚の強さ→ひろしの足の臭い→さらわれる。

お宝→コアラ→コアラの糞

伏線、とは言えないかもしれませんがまるで連想ゲームのような謎解きのような話の運び方が鮮やかで秀逸です。

なぜ失われたひろし、なのか。物理的にさらわれること、プラスアルファ家族がしっかりつながっていることの両面の意味合いを感じます。そして、仮面族が求めていたお宝は結局、「コアラのきらきらとエメラルド色に輝いた糞」という…

皮肉、実に皮肉です。

お金やきらびやかな生活を少し斜め上から見下ろしているような視点を感じます。キラキラと輝いている宝石でも、結局それは「糞」ほどの価値しかないよ、と。まさしく大人向けのアニメだなぁ、と実感しました。子どもが観ても楽しめないとかそういうことではないのですが、製作者の放っているメッセージ、というのがどうしても大人に向けて、放たれているもののように感じてしまいます。

ただ、上手だなぁと思うのが、テーマとか投げかけている問題は少し重苦しいものにもなり得るものですが、そこをギャグ要素で緩和している、ということです。よく聴くとすっごい暗い歌詞だけど、アップテンポの明るいメロディーで緩和している、っていうタイプの曲と似ているかもしれません。(少し例えが伝わりにくいかもしれませんね(^-^; )

あくまでも素人の感想ではありますが、ハートフルな家族愛を感じたい方にはおススメです。(*´ω`*)